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自社の技術分野と
お客様の製造工程をマッチング

入社時から一貫して半導体製造装置の営業に携わっています。当社が力を入れる技術分野を必要とするお客様へ、“この製品”の“この工程”というところまでターゲットを絞り込んで、装置を提案します。個々の工程にどのような導入メリットがあるかを明確に伝えていくことが、引き合いにつながっていきます。

具体的な商談に進めば、価格や納期を含めた大枠から詰めていきます。さらに当社の技術担当と連携し、お客様が求める精度や生産性、機械特性、細かな機能を確認し、最も解決したい課題を提案の中で明確にしていきます。商談開始から受注まで３カ月から半年かかることが一般的です。加工サンプルの試作・評価が入ると１年以上かかる案件もあります。

文系学部の出身だと営業職はスタンダードな就職の選択肢です。しかし当社が販売するのは中身が決まった量産品ではなく、お客様と一つ一つ仕様を決めていく装置です。お客様側の担当者は、技術の専門家であることが少なくありません。技術の内容やトレンドに精通し、深いレベルで技術的な話をして商談をまとめる知識と提案力が当社の営業担当者には求められます。
自分を強くした2年目の苦い経験

入社２年目に世界的な半導体メーカーのライン改造の案件を担当しました。就職時に思い描いていた、まさに「大きな仕事」です。社名や案件の大きさにも怯むことなく、提案を重ね、受注できました。しかし、プロジェクトが始まると想定していない事態の連続。技術的な内容や、納品に至るまでの手続きへの基本的な理解が足りず、一連のビジネスをスムーズにコントロールすることに課題が残りました。

幸い大きなトラブルにはつながりませんでしたが、お客様への直接の対応は最後まで私の仕事です。「なぜ問題が起きたのか」、「どう解決していくのか」、お客様へ説明し、リカバリーすることは非常に難しく、大変な思いをしました。

「なぜそんな重要案件を新人に？」、私も疑問に思ったことがありました。ただ、このときの上司は１０年に渡ってそのお客様を担当してきたベテラン。任せた側にバックアップできる自信があったのでしょう。当時は一人で仕切っているつもりでしたが、お客様の上席者と連絡を取り合ってくれていたことを後に知りました。

今、営業活動において意識していることが二つあります。一つは利益を生み出すビジネスを作るということ。営業担当者は「受注」を重視しがちです。しかし利益度外視の仕事は社内のモチベーションを下げ、割けるリソースを減らします。結果的にお客様のためになりません。お客様の希望を叶える最適な体制を組み、双方が成長していけるビジネスを構築することが重要です。

もう一つはストーリーです。全体を見て常に先回りして、お客様が抱くであろう疑問を想定し、流れを組み立てておきます。スピード感をもってお客様のニーズに対応することがお客様からの信頼につながり、受注につながると考えています。
ブレない軸を持ち続ける

課題を残した案件の翌年、同じお客様が量産設備の導入に動き始めました。競合は複数。バックアップしてくれた上司は異動しており、事情に詳しいのは自分だけという状況でした。やるしかありません。装置の知識や自社のできることは、さまざまなお客様との対話の中で日々、蓄積してきました。これをどう生かすかも経験が教えてくれます。社内やお客様の情報を多元的に集めて会社としての方針をとりまとめ、お客様に提案し、タフな交渉を経て、受注を勝ち取ることができました。

当社には自分の考えを実行できる自由な風土があります。自由に活動できる環境を面白いと考えられる人にはとても適した環境です。就職活動ではやりたいことに主眼を置きがちですが、やりたいことであっても気の重い仕事はあるものです。重要なのはすべてを納得できる自分の“軸”。これが満たされる会社なら働き続けられます。